Copilotはすでにある。それでも翻訳と審査に専用ツールが要るのはなぜか
社内にCopilotを導入済みであれば、すでにリサーチレポートで試してみた方も多いでしょう。日本語のドラフトを貼り付けて英訳を頼めば、英語が返ってきます。ドラフトを貼り付けて、審査担当者が指摘しそうな点を尋ねれば、一覧が返ってきます。数分のあいだは翻訳も審査も解決したように見え、それなら専用ツールを買う理由はどこにあるのか、という疑問が自然に浮かびます。
もっともな疑問です。この記事は、それに対する私たちの答えです。要約すれば、それらしい翻訳や、それらしい懸念点の一覧を生成することは、もともと難しい部分ではありませんでした。難しいのは、すべてのレポート、すべてのアナリスト、毎週の業務で同じやり方を貫き、誰かが最新に保っている参照データと突き合わせ、規制当局の前で会社として説明できる結果を出すことです。汎用アシスタントは前者のために作られています。私たちの製品は後者のために作られています。
汎用アシスタントが与えてくれるもの、手元に戻してくるもの
汎用アシスタントは、入力されたどんな依頼にも応えられるよう設計されています。それが強みであり、同時に、規制下のプロセスには向かない理由でもあります。出力を信頼できるものにする要素は、すべて入力する人の側が用意しなければならないからです。
実際には、次の三つが自分の机に戻ってきます。
- プロンプト。 社内のスタイルを保った翻訳や、正しいルールを網羅した審査を、どう頼めば引き出せるのか。誰かが考え出さなければなりません。そのノウハウは一人の頭の中か、少しずつずれていく共有ドキュメントに置かれます。二人のアナリストが同じことを頼んでも結果は異なり、どちらが正しいのか誰にも言えません。
- データ。 アシスタントが知っているのは、チャットの中身と、社内テナントで見つけられるものだけです。御社の用語集も、過去の翻訳も、ある発行体の数値を前四半期どう扱ったかも、その発行体が昨日何を開示したかも、誰かが与え続けない限り知りません。それを最新に保つのは一つの仕事であり、たいていは設定した人の肩に乗ります。
- 出力に対する判断。 流暢な一段落や、箇条書きの懸念点は、一つの意見です。ドラフトの特定の文に紐づいておらず、理由もなく、何をチェックし何をしなかったかの記録も残りません。審査担当者から「なぜこの数値を通したのか」と聞かれたとき、答えはチャットの履歴です。
これはCopilotへの批判ではありません。汎用ツールにプロセスを担わせようとしたときに起きることです。結果として、リサーチ部門の中に小さな、文書化されていないソフトウェア開発プロジェクトが生まれ、いちばん熱心な人が維持し、その人が忙しくなるか異動すれば止まります。
毎回同じように動くワークフロー
私たちのAI翻訳エディターとセコンドは、プロンプトではなくワークフローです。誰が送っても、どの日でも、すべてのレポートに同じ手順が同じ順番で走ります。翻訳なら、同じ用語、スタイル、整合性のチェックを通ります。事前チェックなら、同じルールに対して同じ一連の審査項目が走ります。二人のアナリストが同じドラフトを送れば、同じ指摘が返ります。
その一貫性を、御社のチームが構築したり維持したりする必要はありません。ワークフローは私たちが設計し、実際のリサーチで検証し、保守します。ルールが変わっても、開示の様式が変わっても、モデルが改良されても、私たちがワークフローを更新し、すべてのお客様がその変更を受け取ります。リサーチ部門の誰もプロンプトを書かず、頼み方を同僚に教えず、「うまくいく方法」の文書を保守しません。部門が手にするのはツールであって、プロジェクトではありません。
また、使う人がフロアでいちばん経験豊富なアナリストでも、先月入社した人でも、プロセスは同じです。結果の品質は、誰が入力するかに左右されません。
土台にあるデータ
ワークフローの質は、何と突き合わせるかで決まります。ですから製品のもう半分は、その背後にある参照データです。翻訳であれば、御社の過去のレポートから積み上げた用語とスタイルを、管理されたリソースとして維持します。変更は意図的に行われ、バージョン管理され、その時点以降のすべての案件に適用されます。個々のチャットに散らばることはありません。審査であれば、審査担当者が実際に適用するルールに対応づけた一連のチェック項目と、発行体自身の開示資料です。ドラフトの数値は、モデルの記憶ではなく、その企業が実際に開示した内容と照合されます。
肝心なのは、誰が維持を担うかです。汎用アシスタントの場合、参照資料は誰かが最後に貼り付けたものか、共有フォルダに保存したものです。私たちの製品の場合、それは私たちが御社に代わって維持するデータベースです。開示が出るたびに、御社のスタイルが変わるたびに更新され、誰がいつ変更できるかの管理下にあります。御社のチームはそれを手入れすることなく、その恩恵を受けられます。
ドラフトの行き先についても同じです。未公表のリサーチは、証券会社が扱う中でも最も機密性の高い資料の一つです。私たちの製品は、ドラフトがその目的のために用意された管理された環境で処理され、何がどこに送られたかが明確に記録されるように作られています。全社向けにデータの取り扱いが設定された汎用アシスタントとは異なります。
プロンプト付きの一つのモデルか、専門エージェントのハーネスか
表面の下で見ると、汎用アシスタントは一つのモデルが一つの依頼に答えています。ドラフト全体を読み、すべてを同時に頭に置き、一つの答えを出します。短いメールならそれで十分です。しかし、決算表、将来見通しに関する記述、企業名、規制用語を含むレポートでは、一人の読み手にすべての分野の専門家であることを同時に求めることになります。結果として、ある項目は丁寧にチェックされ、別の項目は一瞥で終わります。
私たちの製品は違う動き方をします。ワークフローはハーネスの中にあります。ハーネスは管理された枠組みで、仕事をタスクに分割し、それぞれを一つの責任と必要な参照データを持つ専門エージェントに渡し、並列に走らせ、返ってきた結果を統合して評価します。あるエージェントは数値を原資料と照合します。別のエージェントは用語を確認します。また別のエージェントは、審査担当者が指摘しそうな記述を探します。何を、どの順番で、どのデータで走らせるかをハーネスが決め、各エージェントが何をしたかを記録します。
使う側にとって、その違いは出力に現れます。意見の一段落ではなく、ドラフトの特定の箇所に紐づいた指摘が、それを生んだチェック項目と理由つきで返ります。審査担当者は、何が検証され、何が通され、なぜ通されたかを確認できます。セカンドオピニオンと審査記録の違いです。
このハーネスは、再構成できるように作りました。同じ枠組みが翻訳ワークフローも審査ワークフローも走らせ、ルールやお客様のニーズが変われば、製品を作り直すことなく新しいチェック項目を取り込めます。ワークフローが再現可能であり続け、すべてのお客様に対して一括で保守できるのは、そのためです。
汎用アシスタントの居場所
Copilotは、それが作られた目的には良いツールです。長いスレッドの要約、顧客向けメールの下書き、初めて見る文書のざっとした把握、用語についての簡単な質問。私たちのお客様の多くはまさにそのために使っており、それをやめるよう勧めるつもりはありません。
線引きは、個人の生産性か、部門のプロセスかです。一人の人が何かを早く片付けるのが目的なら、汎用アシスタントが正解であることは多いでしょう。部門全体が毎回同じやり方で行い、監査証跡が残り、維持されたデータと突き合わせ、しかも社内の誰かがそれを動かし続ける責任を負わずに済ませたいのであれば、その仕事のために作られたワークフローが必要です。リサーチの翻訳も、レポートの事前審査も、はっきりと後者に属します。
来月、責任を負うのは誰か
問うべきは、Copilotがレポートを翻訳できるか、ドラフトの問題点を見つけられるか、ではありません。頼み方を知っている人にとっては、ときにはできます。問うべきは、ルールが変わり、設定した人が席を移った来月も、全員に対してそれが確実に動く責任を誰が負うのか、です。
私たちの製品では、その責任は私たちにあります。ワークフローは私たちが設計し保守し、その背後のデータは私たちが整備し管理し、それらを走らせるハーネスは自分が何をしたかを記録します。アナリストは結果を、審査担当者は記録を受け取ります。
翻訳やレポート審査について、汎用アシスタントと専用ワークフローのどちらにするか検討中であれば、御社のレポートで両方を走らせて比較することもできます。デモのご依頼
株式会社センティエンス 代表取締役 ガレス・エドワーズ